演出家は、まさに、その芝居をどのように観客に見せるかを誰よりもいちばん考えるのが仕事です。
伝わる見せ方といいますが、伝える私とそれを受け取るあなたは他人どうし。私の伝えることがそのまま相手に伝わるわけではないという前提を忘れてはいけません。
演劇の稽古は、舞台装置が俳優の演技が照明が音響が、私にどのように見えているか聞こえているかを検証し、観客にはどう見え聞こえるだろうかを想像しながらの作業で、ならばこのようにしてみたらどうなるだろうかを繰り返す実験です。それは、私が演劇を通して現実の世のなかをどのように見ているか、私が見ている世界の解像度を上げていく作業でもあります。
そうしてつくった作品を本番で観客に見てもらう。その世界をどう見るかどう受けとるか、それはもちろん、観客に委ねられることになるのです。
演出家
中埜コウシ
【「F-ACT(ファクト)」に寄稿しました】
F-ACT vol.69(2025年1月27日発行)
[ 特集 ] 伝わる見せ方
6名のクリエイターに聞く「伝わる見せ方」(5~6ページ)
編集発行:公益財団法人ふくい産業支援センター









