人間讃歌

演衆やむなし第二回公演「おかしな二人〈女性版〉」

突然ですが、皆さんは狂言をご覧になったことがありますか?

狂言の舞台は、ほぼ、「このあたりのものでござる」というセリフから始まります。登場人物のこのセリフは、「私はお客さまの隣近所に暮らしている者です、お客さまと私に違いはありませんよ」という名乗り、つまりは、これから始まる芝居はけっして遠くの世界の物語ではないという宣言なのです。

狂言では、そんな登場人物たちが、舞台上でいろいろな失敗をやらかします。そんな登場人物たちを観て、おかしな人がいるなあと笑っていたら、もしかしたらこれ私のことかもと身につまされる、いや逆か、私のことを舞台上で思い切り演じてくれるから、笑い飛ばしてすっきりできる。狂言は、私って笑える、という人間讃歌なのです。今回私たちがお届けするこの作品も、そうありたいと思います。

本日はようこそお越しくださいました。 上演時間は約2時間です。少しお尻が痛くなるかもしれませんが、最後までリラックスしてお楽しみいただければ幸いです。

中埜浩之

※演衆やむなし第二回公演「おかしな二人〈女性版〉」(2016年6月17日~19日、24日〜26日/福井 北ノ庄クラシックス)当日パンフレットより