危うさと前向きさ

演衆やむなし第五回公演「とりあえず、ボレロ」

演衆やむなし第五回公演「とりあえず、ボレロ」にようこそお越しくださいました。

ひと月前この街は、のちにサンマル豪雪とでも呼ばれることになるであろう大雪のなかにありました。幸い天候も回復し状況は改善しつつありますが、もとのような生活に戻るにはまだ少し時間がかかりそうです。
そんななか、こうして劇場に足をお運びくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。

「どんな状況も潔く受け止め、決して演劇をやめることはない」。そんな思いのもと、わずが20席ほどのスペースからはじまったやむなしの活動も、おかげさまで3年にして5回目の節目を迎えることができました。

ボレロの語源は、volarボウラー、とぶという動詞です。
劇中のセリフ「とぶ。一寸先の闇へとぶ。とりあえず、とぶ」。その、危うさと前向きさは、やむなしの思いとどこか似ている気がします。そして、私たちの人生にも。

やってくるものはぜんぶ引き受けて、「とぶ。とりあえず、とぶ。そしてやぶれたら……」。

本日のご来場、まことにありがとうございます。最後までごゆっくりお過ごしください。

演出 中埜浩之

 

※演衆やむなし第五回公演「とりあえず、ボレロ」(2018年3月1日〜3日/福井まちなか文化施設 響のホール)当日パンフレットより

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